木彫 Wood Carving 

こちらの生徒さんは透かし彫りの葡萄のある額縁の制作途中です。
木彫は芸術性と技巧の融合です。木彫の技巧とは、いかに効果的に不要な部分を削ぎ落としていくかということで、真髄はそのデザインです。 額縁で使うのはレリーフです。

レリーフ(英: relief、仏: relief ルリエフ、伊:relievoリリエーヴォ) その語源はラテン語の動詞relevare(「浮き彫りにする」の意)であり。イタリア語の「突出部」「浮彫り」などを意味する「リリエーヴォ(rilievo)」に由来しています。

平面を彫り込む、あるいは、平面上に形を盛り上げて肉付けした彫刻によって図像や装飾模様を表わしてゆきます。 木彫におけるレリーフは、木材の表面を比較的浅く、粗取り、粗掘り、部分の造作を通じて仕上げてゆく技法です。 レリーフは、彫りの深さによって、深彫りと浅掘りに分けられます。手順は、下絵を木材表面に写すトレース、その輪郭の周囲の不要部分を削り落とす粗取り、各部の大まかな高さを調整する粗彫り、そして彫刻刀で内部や外部を細かく仕上げてゆく、仕上げ彫りとすすんでゆきます。通常は、絵画と同じく、正面から見られることを想定してデザインします。

日本では見る事が少ない西洋彫刻刀です。ここではこの彫刻刀を彫りで使います。

 

 

 

 

 

 

西洋の彫刻は奥行きがあるので、刃先が長いこの彫刻刀は重宝します。

                       マレーという西洋木槌で叩いて彫りを進めます。

全体の彫りです。

   このような繊細な連続模様もCarvingによって行います。                              

    Lamb’s Tang(羊の舌)のrunning pattern(連続模様)

        Ribbonのrunning pattern(連続模様)

 

Moldingに貼り付けて組み合わせて固定します。

     マイターで貼り合わせるとコーナーはご覧の通り。

 

          全て組み上げた全体像です。

 

Ribbon and Stickの見本
リボンと小枝の装飾模様の彫りで18世紀のフランスの額縁で使われた模様

Egg and Dartの見本
卵と矢の装飾模様の彫りで19世紀のフランスの額縁で使われFluteと呼ばれる小湾型の縦溝彫りの外側によく用いられた模様。

Beadsの見本
これもよく用いられる。とても可愛らしい半球の玉の連続模様の彫りです。

 

 

ゴチック式の浮き出し彫りの見本

16世紀の大理石の彫りですが、書物には聖ブノワ、パリ(ラシネ)という記載しかありません。ここでは石の彫りは出来ませんので木彫で彫った後で大理石風にFinishします。



 

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装飾写本(Illminated Manuscript)

装飾写本とは 印刷技術のまだなかった時代に聖書の「神の言葉」をはじめ、学芸の書などを写学生が1字1字書き写した本の事です。

修道院の一室で机に向かい、鷲ペンを片手に一心に写本に取り組む修道士の姿が、いくつかの中世絵画に残っています。

彼らは教義の習得や礼拝のために、あるいは伝道の使命に奉じるために、ひたすら文字を写し、それを美しく装飾するという作業に没頭した。装飾が写本に与える特性は、それを描くことに関わる者をも神に近づけるものでした。

13世紀に入ると装飾本は修道院を出て、世俗の裕福な商人たちの間や、学問の中心都市で写字につとめる者も現れてきました。

材料は羊皮紙(パーチメント)や子牛皮紙(ヴェラム)を支持体としてインク、顔料、金泥、金箔などで制作をしてゆきます。


支持体は板にパーチメント テンペラと金箔で描画
 
ようやく上品な布地を貼った額装が出来上がり。(額縁はまだ下地のままです)