「古典的な油彩」とは
卵によるテンペラの発色の明るさと
油によるしっとりとした濡れ色の
それぞれの特徴を最大限に活かした併用による描写です。

油の歴史は古代エジプト時代から記録されています。
それまでのヨーロッパでは卵黄テンペラ絵具が主流でしたが、15世紀になるとフランドルではテンペラの上に油絵具を重ねるようになりました。油絵具の特徴は、乾きが遅いが故にぼかしが可能になり、乾燥後も色彩の変化が少なく、透明な層を重ねられることです。ファン・アイクはその油彩画を完成させ、技術はヨーロッパ全土に広まりました。

ファン・アイク 「宰相ロランの聖母」部分模写 制作工程見本




16世紀のイタリアではテンペラと油が混用され、木板に描かれていましたが、ヴェネツィアでは湿度が高く木板の反りが問題となり、帆布を使うキャンバス画が登場しました。このスタイルはイタリア全土に広がり、今日の油画の基本となりました。
その後、17世紀のルーベンスやレンブラント、18世紀のアカデミー、19世紀の印象派、20世紀の芸術運動や合成樹脂を含めた絵画技法へと発展しました。現在の日本で使用されている油絵は印象派以降のスタイルです。この教室では15世紀の技法を使った作品作りを行い、グレーズによる発色の美しさが特徴です。美しい重色を保つためには樹脂や油を調合したワニスやメディウムが必要です。




フィレンツェ派